【コラム】なぜ有機ELテレビは明るくできないのか?

コラム

現在テレビ市場でも人気の有機ELテレビ。高画質な面が好評な一方、液晶と比較して暗い!という評価もあります。
本記事ではなぜ有機ELテレビが明るくできないのかを簡単にお伝えします。

有機ELが暗いという認識は、間違い

有機ELがそもそも暗いというのは正しい認識でありません。
有機ELは電気をかけるほど、明るくなるという特性を持っています。
よってただ明るくするだけなら液晶レベルまで明るくすることが可能です。
それではなぜ明るくないのか?これには有機ELの特性が関わってきます。

それは、有機ELは熱に弱いという特性です
ブラウン管・液晶・プラズマテレビは熱くても大きな問題ではありませんでしたが、
有機ELに熱は大敵です。
無理やり有機ELを明るくさせようとすると
明るくさせるために電気を多く流す

それに伴って熱が増える

有機ELが痛む
という流れ
になります。

有機ELが痛むと、焼き付きが起きたりと不良の原因となります。
よって有機ELテレビは、有機ELが傷まない温度のところで使用する必要があります。

例えば、100°Cで壊れる有機ELがあるとします。
電気を多く流すと明るくなりますが、それに伴って100°Cになってしまいこのままだと
この有機ELは壊れてしまいます。
そこで電気を少なく流し、熱をあまり発生させないようにして50℃になるようにします。
こうすると有機ELはこわれませんが、先程より暗くなります。

それでは各メーカーは、どのようにして有機ELテレビを明るくしているのでしょうか

熱を効率良く逃がす

熱が原因であれば、その熱をできるだけ逃がそうというシンプルな考えです。
電気を多く流しても、熱を逃すことで温度上昇を防ぎながら明るくする手法です。

有機ELテレビが発売した当初は、あまり表にでる技術ではありませんでしたが、
近頃はこちらをアピールする会社が増えています。
特にパナソニックは早い段階から独自の放熱構造をアピールしており、
フラグシップモデルでも一番最初に放熱をアピールするぐらい力を入れています。

先日掲載したASUSの有機ELモニターも放熱機構を強くアピールしています。

より電気効率のいい有機ELを使う

有機ELは現在も様々な研究がされている分野で、より明るい有機ELが開発されています。
同じ電気量でも、より光を出す効率のいい有機ELを採用すれば、もちろん明るくなります。

最近だとLG社はOLED evoシリーズなど、有機EL自体の進化をアピールすることが増えてきました

ただしこれは有機ELパネルを製造しているメーカーだから言えることです。
パネルの供給を受けている他社はハッキリと言えないので、中々実感がし辛いところです。

発光制御と温度管理を賢くする

熱がどのように発生しているか管理することも重要です。
発光による熱を予測することができれば、発光性能を最大限に引き出すことができます。
例えばソニーの有機ELモデルは、画音質を司るプロセッサー「XR」がこの発光制御を行っています。

限界ギリギリまで明るくするために必要な技術です。

有機ELテレビの明るさ競争はまだもう少し続く?

以上、なぜ有機ELテレビが明るくできないのか?のご紹介でした。
有機ELテレビが出始めの頃は約1インチ1万円以上と価格も非常に高く、手に入れづらい状況でした。
しかし量産が進み普及価格帯になることによって、多くの方の選択肢に入るようになりました
テレビはやはりリビングなど明るい部屋での使用がメインなので、
有機ELテレビに明るさも次第に求められるようになりました。

そのおかげか近年の有機ELテレビは非常に明るく、通常のリビングでも問題ないレベルまで
上がっていると思います。

欲を言うとあともうひとつでしょうか。そのひとつを乗り越えれば、有機ELテレビは
QD-OLEDのような変革に向かうようになるかもしれません。

本記事での注意

本記事ではわかりやすさを優先するために、一部表現を崩しています
・電圧をかける→電気を流す
・有機ELの明るさと電気の関係→実際には比例の関係ではありません。

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